西馬音内盆踊り

■西馬音内盆踊りの起源について
約七百年前ともいわれる西馬音内盆踊りの起源については諸説ありますが、およそ一三○○年頃に源親という修行僧が、蔵王権現(現在の西馬音内御嶽神社)を勧請し、ここの境内で豊年祈願として踊らせたものという説があります。その後、慶長六年(一六○一)西馬音内城主小野寺茂道一族が滅び、主君を偲んだ慰霊のための踊りが合流されたものだと云われています。踊る場所は、天明年間(一七八一〜一七八九)に現在の本町通りに移り現在まで継承されてきたと伝えられています。

■囃子について
楽器は笛、大太鼓、小太鼓、三味線、鼓、鉦を使います。 この奏者のほかに地口や甚句の歌い手が加わります。演奏は寄せ太鼓に始まり、寄せ太鼓で終わります。 囃子方と踊り手の息がピッタリ合うと、盆踊りの雰囲気が 一層盛り上がりを見せます。


■二種類の踊り「音頭」と「がんけ」
「音頭」は、手の振り、足さばきとも静かで優雅な動きをします。手指を大きく反らすことがアクセントとなっています。
「がんけ」は、 「亡者踊り」の側面を持っていることから、 甚句の歌詞や節回しには哀調が漂います。踊りは音頭に比べてテンポが速く、回転する動きが入ります。
名前の由来には、飛ぶ雁の姿を踊りから連想した「雁形」 、仏教からきた「勧化」、現世の悲運を悼み、 来世の幸運を願う「願生化生の踊り」が詰まった―などがあります。優美で神秘的な踊りに対し、秋田弁でおもしろおかしい歌詞は最初は違和感をおぼえますが、このバランスこそが西馬音内盆踊りの魅力の一つだとわかります。
昭和六年に当時の西馬音内酒造が懸賞募集で応募された歌詞が多く唄われています。

■地口について
地口とは、西馬音内盆踊りの二種類の踊りのうち「音頭」を踊る時に唄われる歌詞のことです。
七八九、七八九の六句からなる囃子言葉で踊りを盛り上げる重要な役割があります。

時勢はどうでも
世間はなんでも
踊りこ踊たんせ
日本開闢
天の岩戸も
踊りで世が明げだ

太平山がら
納豆皿投げだば
西馬音内糸だらけ
アメリカやって来て
糸っこ買ったば
町中大繁昌

隣の娘さ
踊りこ教せだば
フンドシ礼にもらた
早速持って来て
嬶どさ見せだば
横面殴られだ

■甚句について
甚句とは、「がんけ」を踊る時に唄われる歌詞のことです。
七七七五調で唄われます。

踊れ踊れよ
夜の明けるまで
響く太鼓に
ササ月がさす

お盆恋しや
西馬音内恋し
わけて踊り子
ササなほ恋し

踊る阿呆に
見ている阿呆
同じ阿呆なら
ササ俺ら踊る